「なんちゃって5G」とは?転用5GとNSA・SAを分けて、5G表示が遅い理由を整理
30秒で読む要点
- NSAとSAの違いはネットワーク構成。日本で初期導入された一般的なNSA(Option 3/3x)は4GのEPCとLTEを使い、SA(Option 2)は5G Core(5GC)へ接続する。「4G周波数を転用した5Gか」「5G用に割り当てられたSub6/ミリ波か」とは別の分類
- 「転用5G=NSA」「Sub6/ミリ波=SA」ではない。KDDIは4G転用周波数を含めたSA化を公式に説明しており、5G用の新周波数もNSAで使われてきた
- 速度はSAかどうかだけでは決まらない。利用できる帯域幅、周波数、LTEとNRの同時利用、混雑、電波状況、基地局から先の回線、端末性能などを合わせて見る必要がある
- 画面の「5G」表示だけでは、SA接続や高速な新周波数の利用を判定できない。対応端末では独自表示が出る場合もあるが、契約・SIM・端末・公式エリアを個別に確認するのが確実
- この記事は2026年9月10日に全面訂正した。以前の版にあった「転用5G(NSA)」「本物の5G(SA)」という対応付けと、出典を追跡できない実測・口コミ・順位付けは撤回した
この調査で確認したこと
スマホに「5G」と表示されても、4Gより速いとは限らない。その説明で混同されやすいのが、NSA/SAというネットワーク構成と、4Gからの転用周波数/5G用の新周波数という無線側の区分だ。これは同じ分類ではない。
この記事の旧版は「転用5G=NSA」「本物の5G=SA」と対応付けていたが、技術的に誤りだった。2026年9月10日に一次情報を確認し、構成から全面的に訂正した。
キャリア全体の速度データは「MNO大手4社の速度比較」に分け、このページでは用語と判断方法を整理する。
まず、二つの軸を分ける
日本で初期導入された一般的なNSA(Option 3/3x)はNR(5Gの無線)とLTEを組み合わせ、既存の4Gコア(EPC)へ接続する。SA(Option 2)は5G基地局が5G Core(5GC)へ接続する構成だ。3GPPには5GCを使う別のNSA構成も規定されているため、ここでは国内の商用説明で一般的なOption 3系とOption 2を比較する。
| 分類の軸 | 区分 | 何を表すか | 速度との関係 |
|---|---|---|---|
| ネットワーク構成 | NSA(Option 3/3x) | LTEとNRを組み合わせ、4Gコア(EPC)を利用 | LTEとNRのDual Connectivityで複数の無線資源を使える場合がある |
| ネットワーク構成 | SA | NRから5G Core(5GC)へ接続 | 4Gアンカーへの依存を外し、スライシングなど5GCの機能を使える |
| 周波数 | 4Gから転用 | 従来4Gに使っていた帯域を5G NRへ変更 | 低い周波数は広く届きやすい一方、帯域幅が狭ければ高速化は限定的 |
| 周波数 | 5G用の新周波数 | 国内では主にSub6(3.7/4.0/4.5GHz帯)やミリ波(28GHz帯) | 広い帯域を確保しやすいが、高い周波数ほど届く範囲に制約がある |
この二軸には一対一の対応がない。5G用の新周波数は初期のNSAでも利用され、KDDIは4G転用周波数を含めたSA化も公式に説明している。したがって、「転用5G=NSA」「Sub6/ミリ波=SA」という表は作れない。
SAなら必ず速い、とは言えない
SAは4Gアンカーの混雑に左右されにくく、5GCの低遅延化やネットワークスライシングを利用できる土台になる。ただし、SAというラベルだけで個々の通信速度は決まらない。
実効速度には、少なくとも次の条件が影響する。
- 接続中の周波数と利用できる帯域幅
- LTE・NRや複数バンドを束ねる構成
- 同じ基地局を使う人数と時間帯の混雑
- 屋内外、遮蔽物、基地局との距離などの電波状況
- 基地局から先の伝送路、事業者側の制御、端末の対応バンドや性能
例えば、狭い帯域だけを使うSAより、LTEと広帯域NRを同時利用できるNSAの方が速い場面はあり得る。逆に、Sub6の広い帯域を安定して使えるSAでは改善を期待できる。比較するときは同じ場所・時間・端末で、接続周波数も揃えなければNSA/SAだけの差とは判断できない。
「5G」「5G+」表示で分かる範囲
通常の「5G」表示は、接続中の方式・周波数・速度をすべて説明するものではない。ドコモの公式注意事項でも、SA通信中の表示は端末により「5G」または「5G+」となる。
auの「5G+」は、対応端末でSub6/ミリ波を使って通信中の場合に表示され、待受時は「5G」となる。これは周波数側の目印であり、業界共通の「SA表示」ではない。非対応端末や他社でも同じ表示規則になるとは限らない。
確認の順序は、①各社の公式エリアマップ、②SA対応端末、③対応SIM/契約、④端末設定、の順が安全。ピクトや速度測定一回だけで接続構成を断定しない。
4社の公式情報で確認できること
以下は2026年9月10日に各社公式ページで確認。提供エリアや対象端末は変更されるため、契約前にリンク先で再確認してください。
NTTドコモ
スマートフォン向け5G SAを提供し、主要駅周辺、スタジアム、大学、商業施設、観光地などからエリアを拡大している。通常の5GエリアとSAエリアは別で、対応契約・端末・SIMなどの条件がある。
au(KDDI)
2024年11月から全国のSub6エリアでSAを利用できる設定を完了したと案内している。利用にはSA対応端末・SIM・契約が必要。KDDIは4G転用周波数を含めたSA化も説明しており、SAと新周波数が同義でないことを確認できる。
KDDIは2026年2月のIR資料でSAエリアの人口カバー率90%超を期末目標とし、4月23日に3月末までに90%超のカバー率を達成したと発表した。人口カバー率は約500m区画の50%以上で通信可能なエリアを基に算出するKDDIの指標で、個別地点のSA接続や速度を保証する数字ではない。
ソフトバンク
スマートフォン向け5G SAを提供し、公式ページとPDFで対応エリア・対象端末・USIM条件を案内している。公式エリア資料は「高速大容量通信は5G SA提供エリア全域では対応していない」と明記しており、SAエリア内でも速度条件は一様ではない。
楽天モバイル
公式発表で確認できたのは、2025年7月のSAネットワーク導入パートナー選定と、2026年1月の5GC商用展開に向けた性能検証。今回確認した公式資料だけでは、一般利用者向けSAサービスの開始日・提供エリアを確定できなかったため、予定を断定しない。
5G人口カバー率の読み方
総務省が公表した2024年度末の全国5G人口カバー率は98.4%。これは5G全体の整備状況であり、SAだけ、またはSub6/ミリ波だけの割合ではない。高い人口カバー率から、その場所のSA利用可否や速度を直接推定することはできない。
結論
5Gの速度を考えるとき、NSA/SAと転用周波数/新周波数を同じ軸に並べると判断を誤る。SAは5GCを使うネットワーク構成、新周波数は広い帯域を確保しやすい無線資源であり、それぞれ別の利点がある。
利用者にとって実用的なのは、生活圏の公式マップと端末・SIM・契約条件を確認し、必要なら同じ条件で速度を複数回測ること。「本物/偽物」という呼び分けやピクトだけで、品質を決めつけないのがよい。
関連する比較記事
公開投稿の扱い
参照先(調査日: 2026年9月10日)
- 3GPP RAN関係者による技術論文 — 5G NR radio interface(SA/NSAとDual Connectivity)
- GSMA — 5Gコアへの接続構成(Option 2/3/4/7)
- NTTドコモ — 5GコアとNRのNSA/SA構成
- NTTドコモ — NSA/SA双方の周波数構成例
- KDDI — 5G SAとは(NSAとSAのコア構成)
- au — 5G SA(提供エリア・契約・端末・SIMの条件)
- KDDI — 「5G+」表示と4G転用周波数/Sub6・ミリ波の区分
- KDDI — 4G転用周波数を含めた5G SA化の説明
- KDDI — 5G SAエリアの人口カバー率90%超を発表(2026年4月)
- KDDI — 5G SA人口カバー率の算定定義(2026年2月、18頁)
- NTTドコモ — 5Gの周波数転用と5G SAエリアの区別
- NTTドコモ — 5G SAの提供エリア・利用条件
- ソフトバンク — 5G SAの提供内容・利用条件
- ソフトバンク — 5G SA対応エリア一覧と注意事項
- 楽天モバイル — 5G SAネットワーク導入パートナーの選定
- 楽天モバイル — 5Gコアの商用展開に向けた性能検証
- 総務省 — 5Gの整備状況(2024年度末)