MNO大手4社の速度を比べてみた(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天)

30秒で読む要点

  • 全国・全時間帯を同じ条件で測った大手4社の公式データは確認できず、「全国で最速の1社」は決められない。場所・時間・端末・混雑によって結果は変わる
  • ドコモ・au・ソフトバンクは総務省ガイドラインに沿った10都市の実効速度を公開している。ただし測定都市・期間が異なり、端末条件も同一と確認できないため、各社の数値を横並びの順位には使えない
  • 公開される速度帯は、各地点で3回測った平均値の中央50%が入る範囲で、最低・最高速度や保証値ではない。昼・夕方の限られた時間帯の調査なので、朝・深夜を含む時間帯順位も導けない
  • 契約前は公式エリアマップで自宅・職場・通学路を確認し、可能なら同じ端末・場所・時刻・測定先で候補回線を複数回測る。全国平均より生活圏の再現可能な結果を優先する
  • KDDIの2022年7月障害は、KDDI単体で音声約2,278万人、データ765万人以上という別々の推計で、重複は公表されていない。両者を合算した「影響回線数」や、お詫び返金対象3,589万人との混同は避ける
個人の調査メモです。追跡できる公開情報を条件付きの傾向として整理しています。 通信品質は端末・場所・時期で変わるため、契約前には各社の公式情報もご確認ください。

この調査で確認したこと

ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルについて、2026年9月9日に各社の実効速度、エリア、速度案内を確認した。第三者の投稿を平均した順位ではなく、測定条件を追える公式情報だけを使った。

結論は、公開資料だけで4社を全国一律に順位付けすることはできない、というものだった。3社の実効速度は同じガイドラインに沿う一方、測定都市・期間が同じではなく、端末条件も同一と確認できない。楽天モバイルについては、今回確認した公式ページで3社と同じ形式の10都市の分布を確認できなかった。

公式の実効速度で確認できること

ドコモ・au・ソフトバンクは、総務省ガイドラインに沿い、人口規模などを基準に選んだ10都市で実効速度を測定している。オフィス街・繁華街は正午〜18時、住宅街は15時〜21時に測り、1地点につき3回測定する方式である。

下表の速度帯は各社ページが示す下り速度の第1四分位〜第3四分位、つまり各地点で3回測った平均値の中央50%が入る範囲である。最低・最高速度でも、常に出る速度でもない。

各社が公表する実効速度の測定条件と下り速度帯
事業者 測定期間 Android 下り iOS 下り 今回確認した公開条件
ドコモ 2026年1〜3月 56〜351Mbps 75〜373Mbps 10都市・1,500地点、SO-51F / iPhone 16
au 2026年1〜3月 144〜409Mbps 145〜414Mbps 10都市・1,500地点。ドコモとは測定都市が異なる
ソフトバンク 2026年2〜3月 131〜395Mbps 136〜413Mbps 10都市、Xperia 1 VII / iPhone 17 Pro。ほか2社とは期間・都市が異なり、端末条件も同一と確認できない
楽天モバイル — — — 公式エリア・FAQ・速度案内は確認。3社と同じ形式の10都市の分布は、今回確認したページでは確認できず

※ 数値は各社が2026年9月9日に掲示していた、各地点3回の平均値における下り実効速度の中央50%の範囲。会社間の順位表ではない。「—」は速度が出ないという意味ではなく、同じ形式で並べられる公式数値を確認できなかったことを示す。

この数値で4社を順位付けできない理由

同じガイドラインでも、各社が選んだ10都市は一致しない。たとえばドコモは東京23区・仙台・大阪・広島など、auは東京23区・札幌・新潟・京都など、ソフトバンクは東京23区・札幌・さいたま・広島などで測っている。端末条件も同一と確認できず、測定月も異なる。

したがって「範囲の上端が大きいから全国で速い」「下端が高いから昼も安定」とは言えない。測定対象の違いによる差と、回線そのものの差を分離できないためである。楽天モバイルを含めた4社比較では、そもそも同じ表示形式の公式結果が揃っていない。

測定時間は正午〜21時の一部で、朝や深夜を含まない。時間帯別の全国順位を作るには、同じ場所・端末・測定先を使い、各時間帯を継続して測る別の設計が必要になる。

速度より先に、使う場所を確認する

エリアマップは候補を絞る入口になる。ただし各社とも、地図はシミュレーションや予測を含み、サービスエリア内でも建物内・地下・高層階・地形・混雑・端末などで通信できない場合や速度が変わる場合があると案内している。

  1. 各社の公式エリアマップで、自宅・職場・学校・通勤経路・よく行く屋内施設を地点ごとに確認する。
  2. 使う端末が候補回線の周波数帯と5G方式に対応するか、各社の動作確認情報と端末仕様で確認する。
  3. 可能なら短期利用や副回線で試し、同じ端末・場所・時刻・測定先にそろえて各回線を3回以上測る。
  4. 瞬間的な最高値ではなく中央値を比べ、Web閲覧・動画・通話など普段の用途が安定するかも記録する。
  5. 障害時の備えが必要なら、主回線とは異なるMNOの副回線を候補にし、緊急時の切替手順を事前に試す。ただし基地局・電源・伝送路などを共有し、同時に影響を受ける場合もある。

KDDIの2022年障害は「3,589万人に影響」ではない

KDDIの2022年7月29日資料では、障害は7月2日1時35分から7月4日15時までの61時間25分。KDDI単体(沖縄セルラーを含まない)について、通常時との差分から、音声は約2,278万人、データ通信は765万人以上に影響したと推計している。

音声とデータは別の影響推計で、同じ利用者の重複数は公表されていない。このため単純に足して総影響人数・回線数にはできない。またKDDI単体の3,589万人は、障害期間中にスマートフォン・携帯電話・ホームプラス電話を契約していた全利用者への「お詫び返金」の対象者数であり、影響人数ではない。

1件の長時間障害は備えを考える重要な資料だが、現在の速度順位や障害頻度の順位を示すものではない。障害の比較と備えは通信障害が多いキャリアはある?で分けて整理している。

用途別に見るときの注意

大規模イベントの混雑、地下・屋内、山間部では、通常時の都市部測定とは違う要因が支配的になる。イベント対策の実施有無だけで当日の優劣は決まらず、現地の基地局容量、来場者数、周波数、端末、配置によって変わる。

2026年9月9日訂正:異なる調査条件の数値を使った全国・時間帯・エリア・イベントの順位表と、出典を追跡できない口コミ要約を削除した。KDDIの2022年障害は、音声・データの別推計と返金対象者数を区別して記載した。

公開投稿の扱い

投稿本文と主張を結ぶ直接URL・投稿日・確認日を揃えられていない要約は、検証できる状態になるまで掲載を停止しています。
調査メモ / LIMITATIONS
公式の実効速度も、その調査で選ばれた都市・地点・端末条件・時間帯における分布であり、全国順位ではない。測定都市・期間が異なり、端末条件も同一と確認できないうえ、楽天モバイルを含む4社を横断した公式測定も揃っていないため、数値ランキングは掲載していない。公開投稿は直接URL・投稿日・確認日を追跡できるものが揃うまで扱わない。

参照先(調査日: 2026年9月9日)