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スマホが繋がらない原因をキャリア別に調べてみた

※ 個人の調査メモです。公的機関ではありません。
※ 速度データは調査時点のもの。最新情報は各社の公式ページでご確認ください。

調べたこと

「スマホが繋がらない」——その原因を通信障害・エリア・混雑の3つに分けて、キャリアごとの傾向を調べた。

パケ詰まりに特化した内容は「パケ詰まりが起きやすいキャリア・状況を調べてみた」、イベント時の混雑は「イベント・人混みで繋がらない問題を調べてみた」にまとめている。

「繋がらない」3つの原因

スマホが繋がらないとき、原因は大きく3つに分かれる。

原因 症状 影響範囲 復旧
通信障害 通話もデータも全て不通 地域〜全国規模、同キャリア全員 キャリア側の復旧を待つしかない
エリア・電波 圏外表示、またはアンテナ1本で不安定 特定の場所(地下・山間部・建物内) 場所を移動すれば改善
混雑(パケ詰まり) アンテナは立っているが通信できない 特定の基地局周辺、一時的 時間をずらす・場所を移動

以下、それぞれについてキャリア別の傾向を整理する。

原因①: 通信障害

キャリアのシステムや設備に問題が発生し、広範囲で通信が止まるケース。頻度は低いが、起きると影響が大きい。

大手4社の主要障害(2020〜2025年)

時期 キャリア 期間 影響 原因
2022年7月 au(KDDI) 約86時間 最大約3,091万人 VoLTEサーバーのルーティング障害 → 輻輳拡大
2021年10月 NTTドコモ 約29時間 最大約1,290万人 IoT機器の信号集中によるネットワーク輻輳
2018年12月 ソフトバンク 約4.5時間 全国 エリクソン製設備のCA証明書期限切れ
楽天モバイル 全国規模の重大障害は報じられていないが、局所的な障害は散発的に発生

通信障害の詳しい分析は「通信障害の多いキャリアを調べてみた」にまとめている。

通信障害の確認方法

「自分だけ繋がらないのか、障害なのか」を切り分けるには:

  • 各キャリアの障害情報ページ(Wi-Fiか別回線で確認)
  • Downdetector(downdetector.jp)でリアルタイムの障害報告を確認
  • X(旧Twitter)で「ドコモ 繋がらない」等のリアルタイム検索

原因②: エリア・電波の問題

基地局の電波が届かない、または弱い場所にいるケース。場所を移動すれば改善する。

プラチナバンドと屋内浸透力

プラチナバンド(700〜900MHz帯)は建物の壁や地下に電波が回り込みやすい。ドコモ・au・ソフトバンクは長年プラチナバンドを保有しており、屋内・地下でのカバレッジが厚い。楽天モバイルは2024年にプラチナバンド(Band 28)を取得し対応を進めているが、対応端末の普及とエリア拡大には時間がかかっている。

地下鉄・地下街での各キャリアの状況は「地下鉄・屋内で繋がらないキャリアを調べてみた」に詳しい。

地方・山間部のエリア差

都市部では4社ともほぼ遜色ないカバレッジだが、人口の少ない地方・山間部では差が出る。ドコモは歴史的に地方エリアが最も広く、次いでau。ソフトバンクは都市部に強い一方で地方のカバレッジがやや薄い地域がある。楽天モバイルは地方でのパートナーエリア(au回線)に依存する部分がまだ残っている。

オンライン専用プラン = 親キャリアと同一エリア

ahamo(ドコモ)、povo(au)、LINEMO(ソフトバンク)は、それぞれ親キャリアとまったく同じ回線・エリアを使っている。「LINEMOで繋がらない」は「ソフトバンクで繋がらない」と同義。オンライン専用だからエリアが狭い、ということはない。

ただし、5G対応の設定(5G優先/4G固定)によって体感が変わることがある。5Gが弱いエリアで5G優先設定にしていると、4Gへの切り替え(フォールバック)に時間がかかり「繋がらない」と感じることがある。この場合は端末設定で4Gに固定すると安定する。

原因③: 混雑・パケ詰まり

アンテナは立っているのにデータが流れない状態。基地局の処理能力を超える数の端末が同時に通信しようとすると起きる。

パケ詰まりの詳しいメカニズム、キャリア別の傾向、対処法は「パケ詰まりが起きやすいキャリア・状況を調べてみた」にまとめている。

起きやすい状況は: イベント・花火大会(イベント混雑 / 花火大会)、通勤ラッシュのターミナル駅、渋谷・梅田などの都市部密集スポット。

なお、MVNOの昼帯の低速はパケ詰まりとは異なるメカニズム(POI帯域不足)。詳しくは「昼に速度が落ちるのはどこか調べてみた」を参照。

キャリア別の「繋がらない」傾向

NTTドコモ

エリアの広さは4社で最も安定しており、地方・山間部でのカバレッジが厚い。「繋がらない」報告の多くは都市部の混雑(パケ詰まり)と夜間帯の速度低下に集中している。2023年の都市部パケ詰まり問題は300億円投資で改善が進んでいるが、ユーザー数が最多である構造上、混雑に弱い面がある。

ドコモの速度を調べた記事

au(KDDI)

エリア・速度とも安定しているという評価が多い。2022年の大規模障害(86時間)の印象が強いが、それ以降は大規模障害なく推移している。5G基地局展開が比較的早く、都市部での混雑耐性はドコモよりやや高い印象。ただし地方では一部ドコモに及ばないエリアがある。

auの速度を調べた記事

ソフトバンク

都市部での速度・安定性は良好だが、地方(特に山間部・離島)でカバレッジがドコモ・auよりやや薄いエリアがある。「実家に帰ると圏外になる」タイプの報告はソフトバンク回線(LINEMO含む)に多い傾向。5G SA導入で都市部の混雑対策を進めている。

ソフトバンクの速度を調べた記事

楽天モバイル

「繋がらない」報告が最も多いのは地下・屋内と地方。プラチナバンド取得前は屋内浸透力に明確な弱点があった。2024年のBand 28取得で改善に向かっているが、エリア展開はまだ途上。一方、ユーザー密度が低いため混雑環境(イベント等)では逆に繋がりやすいという報告もある。

楽天モバイルの速度を調べた記事

オンライン専用プラン(ahamo / povo / LINEMO)

繰り返しになるが、エリアと速度は親キャリアと同一。「ahamo 繋がらない」で検索する人が多いが、それはドコモの問題であってahamoの問題ではない。同様にpovoはau、LINEMOはソフトバンクと同じ。

ただし、オンライン専用プランは店舗サポートがないため、端末設定の問題(APN設定、5G切替設定等)を自力で解決する必要がある。「繋がらない」原因が回線ではなく設定にある場合、サポートにすぐ聞けないぶん困りやすい。

ahamo / povo / LINEMOpovoの繋がりやすさを調べた記事

MVNO(IIJmio・mineo・日本通信SIM等)

MVNOの「繋がらない」は、多くの場合「遅い」の別表現。エリア自体は借りているMNOと同じなので、MNOが圏外でなければMVNOも圏外にはならない。問題はPOI帯域の制約による速度低下(特に昼12〜13時)で、画像や動画が読み込めないために「繋がらない」と感じる。

Speed testを走らせて0.5Mbps以上出ていれば「遅いが繋がっている」状態。テキストのLINEやメールは通る。0Mbpsで何も通らない場合は、MNO側の障害かエリアの問題を疑う。

繋がらないときに試すこと

  • 1.通信障害かどうか確認 — Wi-Fiか別のスマホでDowndetector(downdetector.jp)または各キャリアの障害情報ページを確認。障害なら待つしかない
  • 2.機内モードON → 5秒待つ → OFF — 基地局への再接続が行われる。パケ詰まりやハンドオーバー問題の簡易対処
  • 3.4G固定にしてみる — 5Gが弱いエリアでの不安定さはこれで解消することがある(設定 → モバイル通信 → 音声通話とデータ → 4G)
  • 4.場所を移動する — 数十メートルの移動で別の基地局を掴めることがある。屋内なら窓際へ
  • 5.Wi-Fiに逃がす — 近くにフリーWi-Fiがあれば接続。コンビニ・カフェのWi-Fiは非常時に助かる
  • 6.デュアルSIMで切り替える — 異なるMNO回線(ドコモ系+au系など)を持っていれば、片方の障害時にもう片方に切り替えられる

根本的な対策としては、異なるMNO回線のデュアルSIMが最も有効。月額数百円のサブ回線(povo2.0の基本料0円、日本通信SIMの290円プラン等)を持っておくだけでリスクが大幅に下がる。

口コミから拾ったもの

価格.com・X(旧Twitter)・個人ブログ・ニュース記事等から。サンプル数が少なく偏りがある可能性あり。

「ドコモで夜20時台に動画がバッファリングし続ける日がある。場所は都内23区のマンション。昼は問題ないのに夜だけ遅い。通信障害ではなく混雑だと思うが、毎日のことなのでストレス」
X(旧Twitter)(2025年1月)
「LINEMOで島根の実家に帰省したら屋内で圏外になった。ソフトバンク回線だからプラチナバンドはあるはずだが、そもそも基地局が少ないエリアだった。都市部では全く問題ないのに」
価格.com クチコミ(2024年)
「au通信障害(2022年7月)で丸一日連絡が取れなかった。仕事の電話もメールもLINEも全滅。あれ以来デュアルSIMにして、povoとIIJmio(ドコモ回線)の2枚にした」
個人ブログ(2023年)
「楽天モバイルで地下鉄の駅間トンネルで毎回切れる。東京メトロは駅構内は繋がるが、走行中のトンネル区間はまだ圏外になることがある。2025年になっても完全ではない」
X(旧Twitter)(2025年2月)
「ahamoで繋がらないと思ったら、設定で5G優先になっていて、5Gが弱いエリアで4Gへの切り替えが遅かっただけだった。4G固定にしたら安定した。パケ詰まりじゃなくてハンドオーバーの問題」
X(旧Twitter)(2024年)
「日本通信SIMとpovo2.0のデュアルSIMにしている。日本通信が昼に遅くなったらpovoに切り替える運用。通信障害のリスク分散にもなるし、ドコモ回線とau回線の両方持てる安心感がある」
個人ブログ(2025年)
「MVNOで"繋がらない"と思っていたが、正確には"遅い"だった。Speed testしたら0.5Mbps出ていて圏外ではない。画像が表示されないだけで、テキストのLINEは送れる。繋がらないのとは違う」
X(旧Twitter)(2024年)
「ドコモの通信障害(2021年10月)のとき、ドコモ回線のMVNO(IIJmioのDプラン)も巻き添えで全滅した。MVNOはMNOの回線を借りているから、MNOの障害はそのまま影響する。当たり前だが盲点だった」
X(旧Twitter)(2021年10月)

まとめ

  • 「繋がらない」原因は大きく3つ(通信障害・エリア/電波・混雑/パケ詰まり)に分けられ、キャリアによって弱点が異なる。ドコモは夜帯の混雑とユーザー数の多さ、ソフトバンクは地方エリアの薄さ、楽天モバイルは地下・屋内のカバレッジが課題として報告されやすい
  • 大規模通信障害は4社すべてで起きうる。au 2022年(86時間)、ドコモ 2021年(29時間)の記憶は新しい。異なるMNO回線のデュアルSIM(例: ドコモ系+au系)がリスク分散として有効。MVNOはMNOの障害に巻き込まれるため、分散するなら異なるMNOの回線を選ぶ必要がある
  • オンライン専用プラン(ahamo/povo/LINEMO)の「繋がらない」は、親キャリア(ドコモ/au/ソフトバンク)の問題そのもの。回線は同一であり、オンライン専用だから繋がりにくいということはない。ただし5Gハンドオーバーの設定問題が「繋がらない」と感じさせる場合がある
  • MVNOの「繋がらない」は多くの場合「遅い」の誤認。電波自体はMNOと同じものを使っているため圏外にはならないが、POI帯域の制約で速度が極端に落ち、体感上は「繋がらない」と感じる。テキストが送れるなら繋がっている
  • ただし原因の切り分けはユーザー自身には難しい。通信障害・エリア外・混雑のどれなのかを即座に判断する手段は限られており、「とりあえず機内モードON/OFFを試す」のが現実的な初手
MEMO
「繋がらない」は体感の話であって、技術的にはさまざまな原因がある。ここでは主要なものを整理したが、端末側の問題(SIMカードの接触不良、APN設定ミス、OS不具合)は扱っていない。それらは各キャリアのサポートページで確認を。