地方・山間部で繋がりやすいキャリアを調べてみた
※ 速度データは調査時点のもの。最新情報は各社の公式ページでご確認ください。
調べたこと
地方・山間部でスマホが繋がりやすいキャリアはどこか。MNO4社(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)と、MVNO・サブブランドについて調べてみた。
基地局の数や周波数帯の特性、公式エリアマップ、口コミを突き合わせて整理した。速度の速い遅いではなく「そもそも繋がるかどうか」に焦点を当てている。料金の話はしない。
なぜ地方・山間部で差が出るのか
地方・山間部での繋がりやすさの差は、主に基地局の数とプラチナバンドの運用実績で決まる。
人口カバー率は4社とも99%超を謳っているが、これは「人が住んでいる場所」の割合。面積ベースで見ると、山間部・過疎地域は基地局投資の優先度が低く、キャリア間の差が如実に出る。
プラチナバンド(700〜900MHz帯)は1基地局あたりのカバー範囲が広く、建物や山の裏側にも回り込みやすい。山間部では「プラチナバンドの基地局があるかないか」が繋がるか繋がらないかを決める。
| キャリア | プラチナバンド | 4G基地局数(概数) | 地方整備の背景 |
|---|---|---|---|
| ドコモ | 800MHz(Band 19) | 約26万局 | 旧NTT時代からの全国網 |
| au | 800MHz(Band 18/26) | 約20万局 | 旧セルラー系の地方網 |
| ソフトバンク | 900MHz(Band 8) | 約17万局 | 旧Vodafone買収後に急拡大 |
| 楽天モバイル | 700MHz(Band 28) | 約6万局 | 2020年参入・展開途上 |
※ 基地局数は総務省無線局免許データを基にした概数。正確な数値はキャリアにより公表基準が異なる。
地域別に見た傾向 — どこで差が出るか
口コミと集計データから、地域ごとの繋がりやすさ印象をまとめた。◎/○/△は速度ではなく「繋がるかどうか」の傾向。
| 地域 | ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル |
|---|---|---|---|---|
| 北海道東部(釧路・根室) | ◎ | ○ | △ | △ |
| 東北山間部(奥羽山脈周辺) | ◎ | ○ | △ | △ |
| 北陸(石川・富山・新潟) | ◎ | ◎ | ○ | △〜○ |
| 紀伊山地(和歌山・三重山間部) | ○ | △ | △ | △ |
| 四国山地 | ○ | ○ | △ | △ |
| 中国山地 | ○ | △〜○ | △ | △ |
| 九州南部・離島 | ○ | ○ | △ | △ |
◎ = 口コミで安定報告が多い / ○ = 概ね繋がるが弱い場所もある / △ = 圏外報告や不安定という声が目立つ
北海道 — 道東で差がはっきり出る
札幌・旭川周辺は4社とも問題ない。差が出るのは道東(釧路・根室・網走方面)と道北。ドコモは帯広〜釧路〜根室の国道沿いでも安定しているという声が多い。auも道央・道南では問題ないが、道東の市街地を離れると弱くなる傾向。ソフトバンクは道東で「圏外が続いた」という報告が複数ある。楽天モバイルは主要都市以外はパートナーエリア(au)頼みで、切り替え時の不安定さが指摘されている。
東北 — 奥羽山脈を越えると差が出る
仙台・盛岡・秋田の市街地は4社とも概ね問題ない。差が出るのは奥羽山脈を越える峠道や、三陸海岸の沿岸部、遠野〜釜石間のような山あいの国道。ドコモは旧NTT時代からの基地局網があり、こうした区間でも安定しているという評価が多い。ソフトバンクは盛岡以北・山間部で弱いという声が繰り返し出ている。
紀伊半島・中国山地 — 全社にとっての難所
紀伊山地(和歌山・三重の山間部)は全社にとって電波が弱くなりやすいエリア。ドコモでも弱い場所があるが、他3社よりはマシという評価。auは「和歌山の山奥で圏外になった」という口コミがある。中国山地(広島・島根の県境付近)も同様に、ドコモが相対的に強い傾向。
離島 — 情報が極めて少ない
主要な有人島(佐渡島・淡路島・種子島・屋久島等)はドコモ・auがカバーしている。小規模な離島は公式エリアマップの確認が必須。口コミの絶対数が少なく、傾向を語れるだけの情報がない。離島への旅行・出張前には、現地の公式エリア確認を強く推奨する。
使い方別 — 新幹線・高速道路・キャンプ場
新幹線 — トンネル区間で差が出る
東海道新幹線(東京〜新大阪)は4社ともトンネル内も含めて概ね安定している。差が出やすいのは東北新幹線の盛岡以北、北陸新幹線の飯山〜上越妙高間、九州新幹線の熊本以南など、トンネルが連続する区間。ドコモはこれらの区間でも安定しているという声が多い。auは一部トンネルで途切れるケースがある。ソフトバンクは盛岡以北で不安定という報告がある。楽天モバイルは新幹線のトンネル区間に弱い傾向。
高速道路 — ICを降りた先で差が出る
東名・名神・東北道の主要区間は4社とも問題ない。基地局は幹線道路沿いに配置されやすいため、高速道路上は比較的カバーされている。差が出るのはICを降りて山間部に入った先。東北横断自動車道・中国自動車道の山陰寄り区間・九州自動車道の南部区間などで、ソフトバンク・楽天モバイルが弱くなりやすい。
キャンプ場・登山口 — 最も差が出やすいシーン
人口希薄地帯にあるキャンプ場や登山口は、キャリア間の差が最も顕著に出る場所。口コミでは「ドコモだけ電波が入った」というパターンが繰り返し報告されている。auも山間部の主要な登山口ではカバーしているケースが多いが、ドコモには及ばない印象。ソフトバンク・楽天モバイルは標高が上がると圏外になりやすい。ただし地形・標高次第で全社圏外もあり得るため、事前のエリアマップ確認が必須。
楽天モバイルの地方事情 — パートナーエリアと自社エリアの混在
楽天モバイルの地方カバレッジは他の3社と構造が異なる。自社エリア(楽天回線)の外ではau回線(パートナーエリア)に自動切り替えされるため、見かけ上のカバレッジはau相当になる。
しかしパートナーエリアには制限がある。楽天自社エリアの拡大に伴い、auローミングが順次終了している地域がある。「県庁所在地では問題ないが、郊外・山間部では以前繋がっていたのに繋がらなくなった」という声がある。楽天自社エリアへの置き換えが追いついていない地域では、カバレッジが後退するリスクがある。
2024年6月にプラチナバンド(700MHz帯)の商用サービスが始まったが、地方への基地局展開は都市部より遅い。700MHz帯が地方の山間部をカバーするようになれば改善が見込めるが、2026年3月時点ではまだ途上。
また、自社エリアとパートナーエリアの切り替わり地点で接続が一時的に途切れるケースがある。地図アプリやナビを使いながら地方を移動する場合、この切り替わりが不便に感じることがある。
MVNOは親回線の強さで選ぶ
MVNOは親MNOの基地局・周波数帯をそのまま使う。エリアは親キャリアと完全に同一。つまり、地方で繋がりやすさを重視するならドコモ回線のMVNO(IIJmio タイプD・日本通信SIM・mineo Dプラン等)が構造的に有利。
サブブランドも同様。UQ mobile(au回線)は地方でauと同等のカバレッジ、Y!mobile(ソフトバンク回線)はソフトバンクの弱点をそのまま引き継ぐ。
ただしMVNOは混雑時に速度が落ちやすい。地方では混雑が少ないため速度低下は目立ちにくいが、観光地・帰省シーズンなどは例外。繋がるかどうかは親回線次第、速度はMVNO固有の制約がある。
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口コミから拾ったもの
価格.com・X(旧Twitter)・個人ブログ・ニュース記事等から。サンプル数が少なく偏りがある可能性あり。
まとめ
- 基地局数とプラチナバンドの運用年数がそのまま地方カバレッジの差になっている。ドコモ(約26万局・800MHz長年運用)> au(約20万局・800MHz)> ソフトバンク(約17万局・900MHz)> 楽天(約6万局・700MHz展開途上)という構造は、口コミの傾向とも一致している
- 地域ごとに4社の順位が微妙に変わる。北陸ではauがドコモに拮抗する一方、紀伊山地や中国山地ではauも弱くなりドコモとの差が開く。「ドコモが最強」は概ね正しいが地域によって程度が異なる
- ソフトバンクの地方評価は4社中最も厳しい。口コミ・集計とも都市部との落差が大きく、北海道東部・東北山間部・四国山地で「ソフトバンクのみ圏外」という報告が繰り返し出てくる。都市部中心の投資戦略が裏目に出ている構図
- 楽天モバイルの地方カバレッジはパートナーエリア(au回線)に大きく依存している。パートナーエリアの縮小が進んでおり、楽天自社エリアへの置き換えが追いつかない地域では「以前繋がっていたのに繋がらなくなった」という逆転現象が起きうる
- MVNOは親回線のエリアをそのまま引き継ぐため、地方カバレッジを重視するならドコモ回線のMVNO(IIJmio・日本通信SIM等)が構造的に有利。ただし端末のバンド対応(Band 19等)の確認が必要
- ただし口コミ情報は都市部ユーザーに偏りがあり、北海道東部・東北山間部・四国山地・離島の情報は絶対数が少ない。この記事の傾向は「声が集まりやすい地域」からの印象であり、情報空白地帯が多い点は留意が必要