昼に速度が落ちるのはどこか調べてみた
※ 速度データは調査時点のもの。最新情報は各社の公式ページでご確認ください。
調べたこと
格安SIM・キャリア13社について、昼休み(12〜13時)にどれくらい速度が落ちるかを調べた。
みんなのネット回線速度・速度比較サイトの集計データと口コミから、MNO・サブブランド・MVNOの傾向を整理した。料金プランの話ではなく「昼に使えるか」だけに絞っている。
なぜ昼に遅くなるのか
昼12〜13時は「全国のオフィスワーカーが一斉にスマホを使う」時間帯。基地局への負荷が集中し、回線が混雑する。MNO(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)は自社回線なので容量を自由にコントロールできるが、MVNOはそうはいかない。
MVNOはMNOから回線を「借りて」いる。その接続点がPOI(相互接続点)と呼ばれる部分で、ここの帯域幅に上限がある。普段は十分足りていても、昼休みのピーク時にはこのパイプが詰まる。イメージとしては「高速道路の料金所」に近い。道路は空いているのに料金所の手前で渋滞する状態。
サブブランド(Y!mobile・UQ mobile)やオンライン専用プラン(ahamo・povo・LINEMO)はMNOの一部門として扱われるため、このPOI制約を受けない。MVNOとの速度差が昼帯に最も出やすいのはこの構造的な理由による。
13社の昼帯傾向をざっくり分けてみた
各種集計データと口コミから、昼12〜13時の傾向を3段階に分けてみた。速度の数値ではなく「体感としてどうか」の印象。
| 昼帯の印象 | キャリア | 備考 |
|---|---|---|
| ほぼ落ちない | NTTドコモ | 4社中で昼の落ち込みが最も小さい |
| au | ドコモよりやや落ちるがMNO水準 | |
| ソフトバンク | auと同水準の落ち込み | |
| 楽天モバイル | 自社回線のため構造上は有利。ただし地域差が大きい | |
| ahamo | ドコモ回線。本家よりやや落ちるが実用範囲 | |
| povo | au回線。昼でも100Mbps超の報告あり | |
| LINEMO | ソフトバンク回線。3社中で昼の落ち込みがやや大きい | |
| Y!mobile | サブブランド。MVNOからの乗換で改善の声多数 | |
| UQ mobile | サブブランド。Y!mobileと同等の安定感 | |
| はっきり落ちるが改善傾向 | IIJmio | 2025年以降改善。かつての1Mbps以下から10Mbps超へ |
| OCNモバイルONE | 終了済み。稼働中はMVNOの中では速い部類だった | |
| 昼帯に大きく落ちる | mineo | Dプランは5Mbps台、Aプランは13Mbps前後。回線で差あり |
| 日本通信SIM | オフピーク60Mbps超→昼3Mbps以下。落差が最大級 |
※ 速度値は複数の集計サービスと口コミを突き合わせた印象。計測場所・日時で大きく変わる。
MNO(主要4社)の昼
ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルは自社回線のため、POIボトルネックがない。昼帯でも大幅な速度低下は見られにくい。
ただし4社で差がないわけではない。集計データを見るとドコモは昼帯の落ち込みが4社中最小で、「昼でも速い」という評価が安定している。au・ソフトバンクは昼にやや落ちる傾向があり、「昼だけドコモに劣る」という比較コメントが複数見られた。
楽天モバイルは自社回線だが、都市部のオフィス街では昼帯に遅くなるという声がある。ユーザー密度が高いエリアで基地局の処理能力が追いつかないケースがあるようだが、郊外では昼でも速いという声もあり地域差が大きい。
サブブランド・オンライン専用プランの昼
Y!mobile・UQ mobile(サブブランド)と ahamo・povo・LINEMO(オンライン専用プラン)は、MNOの一部門として扱われる。MVNOのようなPOI制約を受けないため、昼帯でもMNO本家に近い速度が出る。
集計上の傾向としては、povo(111Mbps前後)が昼帯で最も高い水準を維持している。ahamo(95Mbps前後)がそれに続き、LINEMO(30〜65Mbps前後)は3社の中ではやや落ちる印象がある。ただしLINEMOは測定件数が少なく、ブレが大きい可能性がある。
Y!mobile・UQ mobileも昼帯は安定しており、MVNOから乗り換えた際の「昼が改善した」という声が最も多いカテゴリ。料金がMVNOに近い水準で昼帯が安定するため、「昼の速度」を重視するなら有力な選択肢になりやすい。
MVNO(格安SIM)の昼
IIJmio・mineo・日本通信SIMは、昼帯に速度が大きく落ちるという点で共通している。ただし程度にはかなり差がある。
IIJmio — 改善傾向が見えるMVNO
かつては昼に1Mbps以下まで落ちることもあったが、2025年以降は帯域増強により10Mbps以上を安定して出すようになったという報告がある。ITmediaも2024年8月に改善を報じている。MVNO全体が停滞するなかで改善傾向が確認できた数少ない例。ただしMNO・サブブランドとの差はまだ大きい。
mineo — 回線による差が出やすい
3回線(ドコモ・au・ソフトバンク)を選べるのがmineoの特徴だが、昼帯はどの回線でも遅い。特にDプラン(ドコモ回線)は5Mbps台まで落ちる傾向があり、Aプラン(au回線)の13Mbps前後と比べて差がある。回線を変えても根本解決にはならないが、多少の改善は見込める場合がある。
パケット放題Plus(低速使い放題・1.5Mbps)を使えば昼帯の速度低下を「そもそも気にしない」という回避策もある。SD画質の動画や音楽ストリーミングなら低速でも継続できる。
日本通信SIM — 落差が最大級
オフピーク時に60Mbps超を記録する一方、昼は3Mbps以下まで落ちるという報告が多い。落差の大きさではMVNOの中でも目立つ。料金の安さを最優先にした設計で、昼帯の帯域確保には力を入れていない印象。
「Wi-Fi環境が充実している人向け」という使い方が口コミに多く出てくる。昼はWi-Fiで凌いで、それ以外の時間帯にモバイル回線を使うという割り切りをしているユーザーが一定数いる。
OCNモバイルONE(参考:終了済み)
2023年に新規受付を終了。NTTコミュニケーションズがNTTドコモに吸収合併される過程で終了となった。稼働中はMVNOの中では昼帯が比較的安定していたという評価があり、ドコモグループ内MVNOとしてPOI帯域に余裕があったとされている。
現在の既存ユーザーの速度傾向は不明だが、「MVNOでも昼が速い組」の代表格だった。後継的な位置づけのirumoはドコモのサブブランド的な扱いで、POI制約を受けない構造になっている。
平日と休日で違うのか
昼帯の速度低下は平日に集中している。「全国のオフィスワーカーが一斉に昼休みに入る」ことがトリガーなので、土日祝日は同じ12〜13時でも混雑が緩和される。
MVNOの集計データでも「平日の昼と休日の昼で10倍以上の差がある」という報告が見られる。日本通信SIMで平日昼3Mbps → 休日昼30Mbps超といった極端なケースも。逆にMNO・サブブランドは平日・休日でほとんど差が出ない。
「在宅勤務中心で平日昼に外出しない」「土日しか外で使わない」という使い方なら、MVNOでも昼帯の問題に当たりにくい。利用スタイルによって体感が大きく変わるポイント。
口コミから拾ったもの
価格.com・X(旧Twitter)・個人ブログ・ニュース記事等から。サンプル数が少なく偏りがある可能性あり。
まとめ
- MNO4社(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)は自社回線のため昼のPOI制約がなく、速度低下が小さい。特にドコモは「昼でも落ちにくい」という評価が集計・口コミの両面から安定しているが、au・ソフトバンクは昼にやや落ちる傾向がある
- サブブランド(Y!mobile・UQ mobile)とオンライン専用プラン(ahamo・povo・LINEMO)はMNOの一部門扱いのためPOI制約を受けず、MVNOより昼帯が明確に安定している。MVNOからの乗り換えで「昼が改善した」という声が複数見られた
- MVNOの昼帯低下はPOI(相互接続点)の帯域上限が原因で、回線を変えても(ドコモ→au等)解消しにくい構造的な問題。IIJmioは2025年以降の帯域増強で改善が見られるが、mineoや日本通信SIMは依然として昼帯に大きく落ちる
- 昼帯の速度低下は平日に顕著で、土日祝日は差が小さくなる。「仕事の昼休み」に集中するトラフィックがMVNO回線を圧迫するため、平日のオフィス街ほど影響が出やすい
- mineoは回線による差が見られ、auプラン(A)は比較的マシだがドコモプラン(D)は5Mbps台まで落ちる傾向がある。回線を変えても昼帯の根本解決にはならないが、多少の差は出る
- ただし速度データは計測場所・日時・端末で大きくばらつく。ここでの傾向はあくまで複数の集計サービスと口コミを突き合わせた印象であり、個別の環境では異なる結果になる可能性がある