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花火大会で繋がらないキャリアを調べてみた

※ 個人の調査メモです。公的機関ではありません。
※ 速度データは調査時点のもの。最新情報は各社の公式ページでご確認ください。

調べたこと

花火大会で「スマホが繋がらない」問題について、キャリア別の傾向と主要花火大会の状況を調べた。

イベント全般の混雑問題は「イベント・人混みで繋がらない問題を調べてみた」にまとめている。ここでは花火大会に絞って、より深く調べた内容を整理した。

花火大会が特にきつい理由

イベントのなかでも花火大会は通信環境が特に厳しくなりやすい。その理由はいくつかある。

まず人の密集度が極端に高い。天神祭奉納花火(大阪)は約130万人、隅田川花火大会は約91〜103万人、諏訪湖祭湖上花火大会は約50万人が来場する。諏訪湖の場合、人口約5万人の市に50万人が押し寄せるため、常設のインフラとの乖離が極端になる。

次に全員が同時にスマホを使う。花火が上がった瞬間に写真撮影、動画撮影、SNS投稿が一斉に始まる。コンサートやスポーツの「ハーフタイム」と違い、花火大会では打ち上げ中ずっと撮影が続く。基地局のアップロード帯域がパンクし、「アンテナは立っているのにデータが流れない」パケ詰まりが発生する。

さらに常設インフラがない。スタジアムやコンサートホールと違い、花火大会の会場は普段は空き地や河川敷。常設のDAS(分散アンテナシステム)がないため、臨時基地局に頼ることになるが、設置場所や電源の制約がある。

花火の打ち上げ中(特にクライマックス)が最も繋がりにくく、合間の休憩時間や打ち上げ前後に少し回復するというパターンが繰り返し報告されている。

主要花火大会での傾向

隅田川花火大会(東京・7月最終土曜)

来場者約100万人。東京都心で開催されるため周辺の常設基地局は多いが、来場者数が圧倒的で追いつかない。2024年は「ドコモが繋がらなかったがauは繋がった」という報告があった一方、別の場所では逆の報告もあり、立ち位置と最寄り基地局との距離で体感が変わる。

各キャリアとも臨時基地局を配備しているが、会場が浅草〜向島の広範囲に分散しているため、カバーしきれないエリアが出やすい。

長岡まつり大花火大会(新潟・8月2〜3日)

来場者数十万人規模(2日間)。信濃川の河川敷に集中する。名物のフェニックス花火(復興祈願花火)の時間帯は「全キャリア壊滅」という報告が複数ある。

地方開催のため常設の基地局密度が都市部より低い。公式サイトでも「打ち上げ時間が近づくにつれ通信環境が悪化し、使用できなくなる場合がある」と明記されている。終了後も帰路に人が集中し、30分以上繋がりにくい状態が続くことがある。

通信が使えない前提で、公式アプリにオフライン対応機能(プログラム・会場マップ・パンフレット)が追加された。2017年に通信障害でプログラムが見られなかった経験がきっかけとされている。

諏訪湖祭湖上花火大会(長野・8月15日)

来場者約50万人。人口約5万人の諏訪市に10倍の人が集まるため、インフラとのミスマッチが極端。KDDIは5ヶ月前から準備を開始し、車載型基地局2基+可搬型基地局2基を配備して常設の2倍体制にした実績がある。

それでも当日の天候(台風接近)でアンテナの高さを急遽変更するなど、現場判断が求められる場面があったと報じられている。地方の大型花火大会では、こうした「準備は入念だが不確定要素が多い」状況になりやすい。

大曲の花火(秋田・8月最終土曜)

来場者約75万人。全国花火競技大会として全国から花火師が集まる大会で、会場は秋田県大仙市の雄物川河川敷。公式FAQでも会場での通信障害について言及されている。

ドコモは大曲花火で通信容量を前年比2倍に拡大した実績がある。それでも開始直後は重かったという報告があり、来場者数の多さが設備増強を上回っている面がある。

地方の中規模花火大会(来場者2〜5万人)

来場者2〜3万人規模の地方花火大会では「普通に繋がった」という声がある。常設基地局の処理能力内に収まるため、臨時基地局がなくても問題ないケースが多い。

ただし地方の山間部で開催される花火大会では、そもそも常設基地局のカバレッジが薄い場合がある。来場者数は少なくても電波環境自体が弱いケースには注意。

キャリア別の対策状況

各キャリアのイベント対策についてはイベント混雑の記事で詳しくまとめている。ここでは花火大会に関連する部分を簡潔に整理する。

NTTドコモ

2023年のパケ詰まり問題を受けた300億円規模の設備投資で、花火大会への対策も強化。大曲花火では通信容量2倍化、東北三大祭りでは1.5倍化の実績がある。2024年の淀川花火大会では関西初のMassive MIMO搭載移動基地局を導入し、従来比2倍以上の通信性能を実現したとしている。2025年度は250件以上のイベント対策を目標。

花火大会でドコモは繋がらない?ドコモの速度を調べた記事ドコモ×イベント会場

au(KDDI)

移動基地局車・可搬基地局の配備に加え、Starlink Wi-Fiのオフロードが特徴。諏訪湖花火では5ヶ月前から準備を開始し、車載型2基+可搬型2基で常設の2倍体制を敷いた実績がある。「人間Wi-Fi」(スタッフがポータブルWi-Fiを持ち歩いて各100台対応)も一部イベントで展開している。

花火大会でauは繋がらない?auの速度を調べた記事au×イベント会場

ソフトバンク

花火大会向けの対策を公式に記事化しており、2ヶ月前から準備を開始する体制。移動基地局車と高所作業車の組み合わせで広域をカバーする。「花火の見える位置を邪魔しない」配慮も含めた場所選定が行われている。

花火大会でソフトバンクは繋がらない?ソフトバンクの速度を調べた記事ソフトバンク×イベント会場

楽天モバイル

隅田川花火大会(2024年7月)などで臨時基地局を配備している。ユーザー数の少なさが花火大会では相対的に有利に働く場合がある。ただし臨時対策の規模は大手3社より小さく、ユーザーが増えた場合の余力は不明。

楽天モバイルの速度を調べた記事

花火大会でできる対策

キャリアの設備増強を待つよりも、自分でできる準備のほうが確実。花火大会に行く前にやっておくと困りにくいことを整理した。

  • オフライン地図のダウンロード — Google Mapsは事前にエリアをダウンロードしておけば電波なしで使える。会場周辺と最寄り駅を含む範囲を指定しておく
  • 帰りの電車時刻のスクリーンショット — 乗換案内アプリの結果をスクショしておく。最終電車の時刻は特に重要
  • 待ち合わせ場所の事前決定 — 「会場で合流しよう」はリスクが高い。具体的な場所と時刻を出発前に決めておく
  • リアルタイム投稿を諦める — クライマックスの写真や動画は撮影だけしておいて、帰りの電車で送信するほうが現実的
  • テキストメッセージを使う — 画像・動画の送信が詰まっていても、テキストのLINEやSMSは通りやすい。「先に帰る」等の連絡はテキストで
  • デュアルSIMで別キャリアを備える — 各キャリアの混雑は独立しているため、メイン回線が詰まっていても別キャリアのSIMに切り替えると繋がる場合がある

これらの対策はキャリアに関係なく有効。どのキャリアを使っていても、花火のピーク時に安定して通信できる保証はない。

口コミから拾ったもの

価格.com・X(旧Twitter)・個人ブログ・ニュース記事等から。サンプル数が少なく偏りがある可能性あり。

「隅田川花火大会(2024年7月)でドコモが全く使えなかった。アンテナは立っているのに写真が送れない。隣にいたau使いの友人は普通にLINEできていた」
X(旧Twitter)(2024年7月)
「長岡花火(2024年8月)に行ったが、フェニックスの時間帯は全キャリア壊滅状態だった。終了後30分くらいでやっとLINEが送れるようになった」
個人ブログ(2024年8月)
「淀川花火大会で電波は4本立っているのにデータが全く流れない。写真1枚送るのに5分以上かかった。いわゆるパケ詰まりを体感した」
Yahoo!知恵袋(2024年)
「楽天モバイルで地元の花火大会(来場者2万人規模)に行ったが普通に繋がった。大手3社が混雑しているなかで楽天だけ空いていた感覚。ただし大規模花火ではどうなるか分からない」
X(旧Twitter)(2025年8月)
「ソフトバンクで花火大会に行ったが、花火が上がっている間は全滅。休憩時間になるとちょっと復活する。全キャリア同じだと思うが」
価格.com クチコミ(2024年)
「花火大会の前にGoogle Mapsをオフラインでダウンロードしておいた。帰りの電車検索も事前にスクショ。電波がなくても困らないように準備したら全然ストレスなかった」
個人ブログ(2025年夏)
「毎年同じ花火大会に行っているが、2024年は2023年より明らかにマシだった。ドコモを使っているが、パケ詰まり対策が効いている気がする」
X(旧Twitter)(2024年8月)
「花火のクライマックスで動画をインスタのストーリーに上げようとしたら全く送信できず。帰りの電車でやっとアップできた。リアルタイム投稿は諦めるしかない」
X(旧Twitter)(2025年7月)

まとめ

  • 花火大会は数万〜数十万人が河川敷・公園に密集し、全員が同時に撮影・送信するため、イベント混雑のなかでも最も繋がりにくくなる部類。4社すべてがピーク時に苦戦する傾向は共通
  • 大規模花火(隅田川・長岡・大曲等)には各キャリアが臨時基地局や移動基地局車を配備しているが、来場者数に対して追いつかないケースが報告されている。一方、来場者2〜3万人規模の地方花火大会では「普通に繋がった」という声もあり、規模による差が大きい
  • ドコモは2023年のパケ詰まり問題を受けた大規模投資の効果が花火大会にも出ている。大曲花火での通信容量2倍化、前年比で改善したという声がある。ただし完全解消には至っていない
  • 楽天モバイルはユーザー数の少なさが花火大会では逆に有利に働く場合がある。ただしこれは基地局投資の厚さではなく単にユーザー密度が低いことによるもので、今後ユーザーが増えれば状況は変わる
  • 「オフライン地図の事前ダウンロード」「待ち合わせ場所の事前決定」「帰路の電車時刻のスクリーンショット」など、電波に頼らない準備をしておくほうがキャリア選びより確実
  • ただし花火大会の通信環境は年ごとに変わる。キャリアの臨時基地局の配備数、来場者数、天候、会場レイアウトで大きく変動するため、ここに書いた傾向が来年も同じとは限らない
MEMO
花火大会の通信データは本質的に「年に1回のスナップショット」で、同じ大会でも年によって状況が大きく変わる。キャリアの設備増強が進む一方で来場者も増えるため、改善と悪化が同時に起きている面がある。ここに書いたのは2024〜2025年の傾向であって、2026年の夏がどうなるかは分からない。