ドコモはイベント会場で繋がらない?調べてみた
※ 速度データは調査時点のもの。最新情報は各社の公式ページでご確認ください。
調べたこと
ドコモがイベント会場で繋がるかどうかを調べた。
2023年のパケ詰まり問題以降、ドコモのイベント対策は大きく変わった。その回復状況を中心に、口コミと公式情報から傾向を整理した。
イベント全般の比較は「イベント・人混みで繋がらない問題を調べてみた」にまとめている。 ドコモの速度・体感を調べた記事もある。
2023年の危機と回復
2023年、ドコモは「パケ詰まり」問題で大きく注目された。コミケC103(2023年12月)や花火大会など、人が集まる場所で極端にデータ通信が遅くなる現象が社会的にも話題となった。他の2社(au・ソフトバンク)でも程度の差はあったが、ドコモのユーザー数の多さもあって、ドコモが最も目立つ形になった。
これを受けてドコモは300億円規模の設備投資を発表。2024年にはイベント対策を前年比2倍の232件に拡大し、2025年度は250件以上を目標としている。淀川花火大会では関西初のMassive MIMO搭載移動基地局を導入し、従来比2倍以上の通信性能を実現したとしている。
投資額とイベント対策件数の公開情報では、3社のなかでドコモが最も積極的に数字を出している印象がある。ただしこれは「問題が最も深刻だったから大規模な対応が必要だった」という側面もある。
→ 「パケ詰まり」の詳細はパケ詰まりが起きやすいキャリア・状況を調べてみたを参照
イベント種別ごとの傾向
コミケ(最も改善が目立つ場面)
コミックマーケットはドコモの改善が最もわかりやすく数値に出た場面。C103(2023年12月)では「ほぼ使えない」レベルだったのが、C107(2025年12月)では下り200Mbps超を記録したという報告がある。5G対応の効果も大きいと見られる。
ただしコミケは東京ビッグサイトという屋内施設での開催であり、DAS(分散アンテナシステム)の整備やWi-Fiオフロードが効きやすい環境でもある。この改善が屋外イベントにそのまま当てはまるわけではない。
花火大会
大曲花火での通信容量2倍化、淀川花火でのMassive MIMO搭載移動基地局(関西初)など、大型花火大会ごとの個別対策が確認されている。「2023年よりマシになった」という声は複数あり、改善傾向自体は間違いない印象。
ただし隅田川花火のような来場者100万人規模のイベントでは「まだ完全には治っていない」という声もある。花火大会は屋外で常設インフラがなく、臨時基地局に頼る面が大きいため、コミケのような劇的改善は難しい構造がある。
→ 花火大会の詳細は花火大会で繋がらないキャリアを調べてみたを参照
音楽フェス
大型音楽フェス(フジロック、サマソニ等)では5G基地局の配備が進んでいる。ステージ間の移動中は比較的繋がるが、メインステージのヘッドライナー時間帯は混雑する傾向がある。
auのStarlink Wi-Fiのような「セルラー以外のオフロード手段」がドコモにはないため、セルラー回線の増強一本で対処している。投資額は大きいが、アプローチとしては正攻法。
スポーツ(スタジアム)
DAS整備済みの大型スタジアムでは460Mbpsの実測報告もあり、改善工事の効果が顕著に出ている。試合中は安定しているが、ハーフタイムに一斉にスマホを触るためその時間帯は遅くなる傾向がある。
スタジアムは常設のアンテナ設備があるため、花火大会のような「毎回ゼロから基地局を建てる」イベントとは事情が異なる。ドコモの改善が最も安定して出やすい環境と言える。
年越し・初詣
年越しの明治神宮や初詣スポットでは、基地局が多い都心でもピーク帯(0時前後)は厳しいという声がある。ドコモの基地局密度は3社で最も高いが、ユーザー数もまた最も多いため、ピーク時の混雑は構造的に避けられない面がある。
臨時基地局の配備が難しい場所(神社の境内等)では、常設基地局の処理能力がそのまま限界になる。渋谷のハロウィンも同様の構造で、基地局は多いがそれ以上に人が集まるケース。
他社との比較
ドコモのイベント対策を他社と比較すると、「最大のユーザー数 → 最も混雑しやすい → 最も大規模な投資で対処」という構造が見える。
au(KDDI)
auはStarlink Wi-Fiという独自の武器を持っている。セルラー回線が混雑しても、Starlink経由のWi-Fiにオフロードできるため、イベント会場での選択肢が一つ多い。セルラー通信の品質自体はドコモと同等かそれ以上という場面もあるが、「別の手段がある」という点でドコモとはアプローチが異なる。
ソフトバンク
ソフトバンクは5G SA+高所作業車の組み合わせでイベント対策を進めている。投資額はドコモより少ない印象だが、着実に改善中。ドコモほど「パケ詰まり」が社会問題化しなかったため、回復物語のインパクトは小さいが、もともとの落ち込みも比較的小さかった。
楽天モバイル
楽天はユーザー数の差で相対的にイベント会場が空いている。「大手3社が混雑しているなかで楽天だけ空いていた」という声がある。ただしこれは基地局投資の厚さではなく単にユーザー密度が低いことによるもので、今後の状況は未知数。
現場でできる対策
イベント会場での通信対策は花火大会の記事に詳しくまとめている。ここではドコモ固有の点だけ補足する。
- ・d Wi-Fiの活用 — ドコモユーザーはd Wi-Fiが使える会場ではWi-Fiに切り替えることで混雑を回避できる可能性がある。ただしイベント時はd Wi-Fi自体も混む場合がある
- ・オフライン準備 — 地図・時刻表・待ち合わせ場所の事前スクリーンショット。キャリアに関係なく有効
- ・テキスト優先 — 画像・動画の送信が詰まっていても、テキストのLINEやSMSは通りやすい傾向がある
- ・デュアルSIM — ドコモが詰まっているときに別キャリアのSIMに切り替える。各キャリアの混雑タイミングは独立しているため有効な場合がある
口コミから拾ったもの
価格.com・X(旧Twitter)・個人ブログ・ニュース記事等から。サンプル数が少なく偏りがある可能性あり。
まとめ
- ドコモのイベント対策を語る上で2023年は避けて通れない。パケ詰まり問題が社会的にも注目され、300億円規模の設備投資を発表。2024年にはイベント対策を前年比2倍の232件に拡大し、2025年度は250件以上を目標としている。3社のなかで最も大規模かつ公開情報が多い対策を展開している
- コミケでの回復は数値でも確認されている。C103(2023年12月)で「ほぼ使えない」レベルだったのがC107(2025年12月)で「200Mbps超」まで改善。auやソフトバンクも改善しているが、ドコモの振れ幅が最も大きく、改善のインパクトも目立つ
- 花火大会では大曲での通信容量2倍化、淀川でのMassive MIMO搭載移動基地局(関西初)など、大型イベントごとの個別対策が確認できる。ただし隅田川花火のような超大規模イベントでは完全解消には至っておらず、「マシになったがまだ重い」という声が残る
- 基地局密度が3社のなかで最も高いため、イベント以外の通常時は安定感がある。ただし基地局密度の高さは裏を返せばユーザー数の多さでもあり、イベント時の混雑は他社より厳しくなりやすい構造的な面がある
- auのStarlink Wi-Fiやソフトバンクの高所作業車のような独自アプローチは目立たないが、5G基地局の大量投入と既存基地局の増強という正攻法で対処している。投資額とイベント対策件数では3社をリードしている
- ただし回復途上であることは留意が必要。2023年比で大幅改善しているのは確かだが、すべてのイベント会場で問題が解消されたわけではない。都市部の大型イベント(渋谷ハロウィン等)や年越しなど、対策が難しい場面ではまだ厳しい声がある