auはイベント会場で繋がらない?調べてみた
※ 速度データは調査時点のもの。最新情報は各社の公式ページでご確認ください。
調べたこと
auがイベント会場で繋がるかどうかを調べた。
イベント全般の比較は「イベント・人混みで繋がらない問題を調べてみた」にまとめている。ここではauに絞って、Starlink Wi-Fiなどの独自対策と口コミから傾向を整理した。
auの速度・体感を調べた記事もある。
auのイベント対策
auのイベント会場での通信対策は、他の3社とは異なるアプローチを含んでいる。主な施策を整理した。
Starlink Wi-Fiオフロード
KDDIとSpaceXの連携によるStarlink Wi-Fiが、auのイベント対策の目玉になっている。衛星回線を利用して地上のモバイル回線を迂回する仕組みで、セルラー通信を直接増強するのではなく「Wi-Fiに逃がす」という発想。
2024年のROCK IN JAPAN FESTIVALでは11基のStarlinkアンテナを配備。音楽フェス9会場で累計18万人が利用した実績がある。auユーザーに限らず、誰でも接続できるオープンWi-Fiとして提供されている。
「人間Wi-Fi」
スタッフがポータブルWi-Fiを背負って会場内を歩き回り、各端末が約100台に対応する。固定のWi-Fiスポットではカバーしきれないエリアを動的に補完する仕組みで、一部のイベントで展開されている。
デュアルバンドMassive MIMO
コミケなどの大規模屋内イベントで導入が進んでいる。複数の周波数帯を同時に使って多数の端末に効率的に電波を配分する技術で、改善効果が報告されている。
移動基地局車+可搬基地局
これはドコモ・ソフトバンクも含めた各社共通の対策。auの場合、諏訪湖花火大会で車載型2基+可搬型2基を配備し、常設の2倍体制を敷いた実績がある。5ヶ月前から準備を開始するという入念な体制が報じられている。
イベント種別ごとの傾向
花火大会
花火大会ではセルラー通信がそのまま問われるため、Starlinkの恩恵は限定的。移動基地局+可搬基地局で対応するが、対策規模はドコモ・ソフトバンクと大きな差はない印象。諏訪湖花火では5ヶ月前からの準備体制が報じられており、現場運用の丁寧さが見える。
音楽フェス
Starlinkの最も効果が出やすい場面。ROCK IN JAPANやフジロックでの口コミでは「Wi-Fiに繋げば使えた」という声がある。ただしWi-Fiへの手動切替が必要で、ステージから離れるとカバーが弱くなる。セルラー通信がそのまま速くなるわけではない点は注意。
コミケ
デュアルバンドMassive MIMOの導入で改善傾向がある。ドコモがC103からC107にかけて劇的に改善した軌跡と比較すると、auの改善は漸進的で目立ちにくい。ただし「前回より明らかに良くなった」という声はあり、着実に進めている印象。
スポーツ(スタジアム)
常設のDAS(分散アンテナシステム)が整備されているスタジアムでは比較的安定している。屋外の臨時会場とは状況が異なり、大きな問題は報告されていない傾向。
年越し・初詣
全キャリア共通でピーク帯(0時前後)は厳しい。明治神宮での口コミでは「0時台は完全にダメ、1時半頃から回復」という声がある。3キャリア持ちの友人も全滅だったという報告もあり、au固有の問題というよりは全社共通の現象。
他社との比較
イベント対策のアプローチは各社で異なる。auの位置づけを整理した。
ドコモ
2023年のパケ詰まり危機を受けた300億円規模の投資で、イベント対策も大幅に強化。基地局密度・投資額でリードしており、2025年度は250件以上のイベント対策を目標としている。セルラー通信の正面突破的な増強が特徴。
ソフトバンク
5G SA+高所作業車の組み合わせによる正攻法の増強路線。移動基地局車の配備と広域カバーで着実に対応している。
楽天モバイル
ユーザー数の少なさがイベント会場では相対的に有利に働く場合がある。ただしこれは設備投資の厚さではなく単にユーザー密度が低いことによるもので、今後の状況は不透明。
auはStarlinkという他社にない武器を持っているが、セルラー通信そのものの改善度ではドコモに後れをとっている面がある。Starlinkが効くのはWi-Fi切替が可能な場面に限られるため、すべてのイベントで有利というわけではない。
現場でできる対策
イベント会場での通信対策は基本的にキャリア共通。オフライン地図の事前ダウンロード、テキスト優先の連絡、デュアルSIMの活用などが有効。詳細は花火大会の記事にまとめている。
au固有の対策としては以下がある。
- ・Starlink Wi-Fiの対応イベントを事前に確認 — au公式サイトで対応イベント一覧が公開されている。対応イベントなら積極的にWi-Fiに切り替える価値がある
- ・au Wi-Fiスポットも選択肢 — Starlink Wi-Fiとは別に、au Wi-Fi SPOT(UQ Wi-Fiを含む)が使えるイベント会場もある。セルラーが詰まっているときの逃げ道として覚えておくといい
- ・Wi-Fi自動接続の設定確認 — Starlink Wi-FiやWi-Fiスポットを利用するにはWi-Fi機能がオンになっている必要がある。バッテリー節約でオフにしている場合は事前にオンにしておく
口コミから拾ったもの
価格.com・X(旧Twitter)・個人ブログ・ニュース記事等から。サンプル数が少なく偏りがある可能性あり。
まとめ
- auのイベント対策で最も目を引くのはStarlink Wi-Fiによるオフロード。2024年のROCK IN JAPANでは11基のStarlinkアンテナを配備し、音楽フェス9会場で累計18万人が利用した実績がある。セルラー通信の増強とは異なるアプローチで、ドコモ・ソフトバンクにはない独自戦略
- ただしStarlink Wi-Fiは「Wi-Fiに手動で切り替える」必要があり、セルラー通信がそのまま速くなるわけではない。auユーザー以外も利用可能なオープンWi-Fiとして提供されるため、混雑時のセルラー回線の混み具合自体が改善されるわけではない点は留保が必要
- コミケではデュアルバンドMassive MIMOの導入で改善傾向が見られる。ただしドコモがC103→C107で劇的に改善した軌跡と比べると、auの改善は漸進的で目立ちにくい。両社とも毎回対策を強化している点は共通
- 花火大会では諏訪湖での5ヶ月前からの準備体制や「人間Wi-Fi」の展開など、現場運用の工夫が報じられている。移動基地局車+可搬基地局の配備はドコモ・ソフトバンクと同様だが、Starlinkという追加の選択肢を持っている点で柔軟性がある
- 中小規模のイベントや地方開催のイベントでは、Starlink Wi-Fiの配備対象外になるケースが多い。この場合は通常のセルラー通信に頼ることになり、3社の中で特段有利とも不利とも言いにくい
- 電子決済のイベント利用について、au PAYに限らず全社の決済サービスが混雑時に不安定になる傾向がある。KDDIはイベント会場での決済端末の安定性にも取り組んでいるが、来場者のスマホ側の通信が詰まれば決済も影響を受ける